こんにちは。
久しぶりにブログを書いています。
今回はいつものポルトガル語の記事ではありません。
実は2021年2月、25年暮らしたブラジルを離れて愛犬とともに日本に帰国しました。
一人と一匹でサンパウロから出発し、ドーハを経て成田空港。東京での2週間の外出自粛期間のあと、羽田空港から実家のある町の地方空港へ向かいました。
もともと犬や猫との帰国は面倒なものです。それがコロナ禍での帰国、加えて最終目的地は地方都市ということで、なかなかできない経験をしたと思っています。
だからその経験を忘れてしまう前に、というかもう忘れてしまった部分もあるので、私の「犬連れ帰国」について覚えていることだけメモしておくことにしました。かかった費用についても書いておきます。
長いメモですが、どこかの誰かの参考になるでしょうか。
でも、情報というのは出た瞬間に古びてしまうもの。ましてこのブログを書いている時点で出国からすでに二月近く経っています。
状況はどんどん変化しています。犬連れ帰国をご検討中の方は、このブログの内容をそのまま信じたりせず、どうかどうか、ご自身でしっかり確認して一つずつ確実に進めていってくださいね。
今回の帰国に際して、何人ものフォロワーさんに助けていただきました。
心から感謝しています。おかげで故郷に帰ることができました。ありがとうございました。
犬と帰国 ブラジルから日本へ
Photo by Erol Ahmed on Unsplash |
いつもの里帰りなら、関空に到着直後にスーツケースを宅配便に預け、すぐ電車に乗って新幹線に乗り換えて実家に向かうことができます。でも今回の帰国ではそれができませんでした。
新型コロナウイルスの感染拡大が始まってから、日本政府は水際対策として帰国者入国者に対し厳しい措置を取っています。
私が帰国したときは、出国前と入国後のPCR検査に加え、入国後の公共交通機関を使った移動の禁止と入国翌日を14日間の外出自粛が求められていました。
これは大変なことです。空港に迎えを頼める人がいなかったり、地方に帰りたい人は頭を抱えてしまいます。まして犬と一緒なら途方に暮れてしまいます。
今回の帰国では、手間も時間もお金もかかりました。不安もいっぱいでした。
犬連れ帰国の準備
Photo by ConvertKit on Unsplash |
まずはここをよく読むことからスタート。
農水省「犬、猫を輸入するには」
犬や猫を連れて日本に帰るということは、日本に犬や猫を輸入するということ。50年以上も狂犬病が発生していないとされる日本では、狂犬病の流入を阻止するため、厳しい対策をとっています。
犬や猫の入国手続きは半年以上前から始める必要があります。自分でしようと思えば全てできますし、やっている人もいますし、何より安く済みます。
でも、面倒。
犬連れ帰国で依頼したサービス
面倒な人や忙しい人は、始めから全部おまかせできる代行業者があります。サンパウロではこちらがおすすめ。
Pet Trip
Universal Pet Brasil
私は自分でほとんどをやりました。でも出国直前は慌ただしいので、最後の段階、ブラジル政府発行の書類の準備を業者にお願いしました。
日本人駐在員によく選ばれるUniversal Pet Brasiと私が利用したPet Tripは、兄弟で一緒にやっているのでどちらで依頼しても結局は一緒だそう。
このように最後だけ依頼する場合でも、早めに、できればひと月前に連絡してほしいとのことでした。必要書類にスタンプを押してもらうため、空港の農水省に予約を取って出向かないといけないそうです。
取れなければ別の空港で予約を取ることになり、費用が余分にかかってしまいます。
マイクロチップ装着と狂犬病抗体検査の血清採取
ペットの検査センターです。
取った血清を日本が指定する検査施設に送ってくれるサービスもやっています。
Provet
犬連れ帰国で用意したもの
犬のために用意した物です。
飛行機の旅
- クレート
- 給水ボトル
- ペットシーツ
- ドッグフード
- 犬の手続きとその書類一式
クレートは、構造や素材や大きさに規格があるので航空会社のサイトで要確認。
私の犬がいつも使っているクレートはそのまま飛行機でも使えるものでした。食事と睡眠はその中でさせていたので、中に入ることには慣れていたので助かりました。
給水ボトルはハムスターが使うような、口の先にボールが入っていて、なめると水が出てくるタイプ。
ペットシーツはクレートの中に一枚敷いて、もう一枚はビニール袋に入れてクレートの上に貼りつけておきました。
それとドッグフードもポリ袋とジップ袋に入れてクレートの上へ。航空会社が乗り継ぎ空港でお世話をしてくれるというのでその時に使ってもらうためです。
自粛生活
- 食器
- おもちゃ
- タオル
- ベッド
ドッグフードを日本に持ち込むには動物検疫が必要です。
手続きしないでそのまま持ち込むのはNG。面倒な動物検疫を避けるため、入国後の分は用意しませんでした。
このため、入国当日に犬が食べる分は自分のパンを分けて、その後の自粛期間中のフードは、Amazonで注文してすぐに届けてもらいました。
ベッドは使っていた薄いもの。人でも自分の枕を持って旅行に行く人がいるくらいですから、犬だって使い慣れたものがいいですよね。
飛行機に乗る
Photo by Phil Mosley on Unsplash |
ペットとの帰国で日本人駐在員によく選ばれるのはヨーロッパ系、特にルフトハンザ航空。でも私が飛行機を探しているときには便がなかったし、他でも乗り継ぎ空港でのペットのお世話サービスが一時中止になっていました。
そこでカタール航空のチケットを買いました。
カタール航空
サンパウロ出発便はしょっちゅう飛んでいたし、私がチケットを買ったときは出発日の変更もキャンセルも無料だったし、ドーハの空港での乗り継ぎなら、係の方がクレートの掃除や餌やりや水やりなどペットのお世話を手数料なしでしてくれる、というのが選んだ理由。
実際は、成田空港についた時にはペットシーツは濡れていてぐちゃぐちゃ。予備のペットシーツもドッグフードもそのままでお世話をしてもらった様子がありませんでした…
航空会社を選んでチケットを買ったら、犬も一緒に乗ることを航空会社に知らせておきます。心配な人はチケットを買う前に相談したほうがいいかもしれません。
トラブル発生
私の犬の搭乗を航空会社に伝えてあったのに、搭乗3日前になって断られるという事件が。
ブラジルの問い合わせ窓口に電話してもなぜかポルトガル語が話せる人が電話に出ず英語話者だけ。すったもんだの挙げ句、日本のオフィスを通じて別の便に変更してもらい、犬の搭乗についてもあらためてお願いして乗ることができました。
犬の書類の有効期限もあるし民泊も予約してあったし、冷や汗が出ました。
英語のできる友達に頼んでドーハの本社オフィスに電話をかけてもらったりもしましたが、結局、日本のオフィスに連絡を取るのが一番話が早いようですね。
トラブルは有りましたが、客室乗務員さんがとても親切で、とても疲れていた私をよく気遣ってくださいました。
サンパウロから出発
ブラジルの玄関口、グアルーリョス国際空港からの出発です。
ここには4時間前に到着。前もってオンラインチェックインをしていかなかったことが失敗でした。この日は混んでいたために、チェックインカウンターにたどり着くまでに長い列に並ぶ羽目に。
ここで書類を見せて犬の運賃を支払った後、大型荷物の検査場へ行き、そこで犬が入ったクレートの検査を受けてお別れ。次に会えるのは到着の成田空港です。
成田空港へ
犬が飛行機に乗るには3つの方法があります。どの方法になるかは犬の大きさなどで決められます。
- 貨物として飼い主とは別の便に乗る
- 預け荷物として飼い主と同じ便の貨物室に乗る
- 飼い主とともに客室内に乗る
私の犬は機内に持ち込むには大きく貨物室へ。
貨物室は暗いしエンジン音は聞こえるけど、空調は入っていて客室内と同じ温度に設定されているとのことでした。
搭乗前、以前は犬に眠る薬を与えていたようです。でも現在では勧められていません。搭乗後は何があっても誰も犬の様子を見に行くことができないので、薬で体調を崩すことがあっても助けてあげられないからだそう。私も薬は与えませんでした。
動物検疫所で
成田空港に到着して、私はPCR検査を受けました。犬を迎えに行けるのは検査の後。
無事に陰性の結果が出て荷物受け取り場に行くと、すでに犬は動物検疫所に運ばれていました。
ここで、用意してあった書類の提出とマイクロチップの読み取りをして、最後に書類にサインを貰って終了。長く大変だった犬の手続きはここであっけなく終了しました。検疫所での手続きは10分ほどだったと思います。
犬との移動と自粛期間
Photo by ian dooley on Unsplash |
定められた外出自粛期間は入国翌日から数えて14日間。入国当日から15泊で、16日目になってやっと自由になれるということです。
外出自粛期間中はホテルではなく民泊に滞在しました。空港からは民泊の紹介業者が大きなワゴン車で空港まで迎えに来てくれて助かりました。
犬の同乗もOK。この送迎サービスも料金に含まれていたのでここで支払う必要もありませんでした。
困ったのは途中でコンビニなどに立ち寄れないこと。
検疫の決まりで民泊まで直行しないといけないそうで、当面2日分の食料と飲料を買うつもりでしたが仕方ありません。到着当日は機内食だったパンをかじっておしまいにしました。
滞在した民泊
私が滞在したのはホテルではなく、都内の古い1Kのアパートの民泊でした。小さいけれど私と犬には十分。インテリアも素敵でした。
民泊なので家電も家具も洗剤も一通り揃っていたし、シャンプーやボディソープ、ポケットWi-Fiまで置いてあって、手ぶらで行って大丈夫。
一日に一度だけ犬と散歩に出かけた他は、ずっとこのアパートにこもってテレビを見ながらのんびり過ごしました。
賑やかで素敵なお店の多い通りの近くにありましたが、外出を控えなければならなかった今回は、そのどこにも入ることができずじまいで残念でした。
東京にはあらためて遊びに行って、食事やショッピングをしっかり楽しみたいです。
羽田へ移動
退屈だった外出自粛期間、トータル15泊16日を終えて羽田空港から実家のある地方空港へ。
羽田へはペットタクシーを頼みました。犬だけでなく、人も荷物も一緒に乗れるということで助かりました。
Petta
サンパウロでは犬は車内でシートベルトを付けるかクレートに入れるかしないといけないのに、車内では犬は自由にしていていいと言われてびっくり。初めて犬を膝に抱いて車に乗りました。
羽田空港で
早く到着したので空港のペットホテルに犬の一時預かりをお願いしました。
羽田空港ペットホテル
犬の搭乗の予約はネットでできました。
ANAのチェックインカウンターで犬の運賃を支払い、犬を預けたのですが、このとき、中に犬用のマットを入れていたので、検査官の方が来てクレートの中を検められました。
ついに故郷の町へ
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ようやく飛行機に乗って実家の最寄りの空港へ。犬も無事に到着です。家族に空港に迎えに来てもらいました。
こんなに実家に帰るのが大変だったことは初めてでした。
犬連れ帰国で心配だったこと
Photo by Yu Kato on Unsplash |
長く暮らしたブラジルのサンパウロを離れ、日本、そして故郷の町に戻るにあたって、いつもの里帰り帰国と違って心配がいくつもありました。
- 飼い主の私に陽性の検査結果が出たら犬はどうする?
- 食事はどうしたらいい?
- 費用は?
- 出国前PCR検査はどこでするの?
- 犬と滞在できるところはある?
- 移動はどうしたらいい?
- 日本の携帯持ってないけどどうしよう。
等々、考えれば考えるほど心配が募りました。
飼い主の私に陽性の結果が出たら犬はどうする?
動物検疫所に問い合わせました。
2020年11月10日に頂いた回答によると、犬連れの私が日本の空港での陽性が出た場合、
- 航空会社が私に代わって犬と関係書類を検疫カウンターに渡す。
- 動物検疫所がいったん犬と書類を預かる。
- 私の家族や知人など代理人が動物検疫所の事務所で手続きを行う。
という流れ。
陽性の結果検査が出たらもう犬には会えないので、あとは全て航空会社や代理人におまかせするしかない、ということです。
万一のときは航空会社の協力と代理人の手配と委任状が必要なので、これらは自分で確認したり手配してくださいとのことでした。
でも私は頼れる知人も家族も東京にいません。そこでTwitterのフォロワーさんに相談して、万が一の時にはお願いすることにしていました。
結局陽性が出ることはなく、無事に犬と入国。
ちなみに、こんな施設をフォロワーさんが教えてくださいました。
東京都ペット同伴宿泊療養施設
それからアニコムのこんなサービスも。
#StayAnicom プロジェクト
食事はどうしたらいい?
心配なのが自粛期間中の食事。
犬の分はAmazonでドッグフードを配達してもらいました。
自分の分も注文しました。パックご飯とレトルトのおかずとお茶とゼリー飲料です。
人との接触を避けるために外食はできないし、携帯がないから宅配も頼めないのでこうなりました。
もちろん生鮮食品を注文することもできました。民泊には冷蔵庫もお鍋もガスレンジもあるから調理も可能。でもそうなると調味料も必要になるし、余らせてしまいそうでやめました。
パックご飯もレトルトのカレーもおいしかったです。でもやっぱり飽きました。
そんな中、毎日の犬との散歩の途中で、お昼時にお店の外でお弁当を売っているお店を発見。
お弁当を売っているお肉屋さん、ランチ用のお寿司のパックを売っているお寿司屋さん等々、おいしいものを見つけることができました。ランチ用は値段も安くて嬉しくて、何度か気分転換に買いました。
それと小さな八百屋さんで表に並べてあったミカンを買っていました。レトルトばかりなのでどうしてもフレッシュなものが欲しかったからです。
犬連れの帰国者なので店内には入れません。それでもなんとか買い物ができました。
費用は?
成田に到着してから実家のある地方空港までにかかった費用は、人と犬合わせて約155,000円でした。
- 民泊の滞在費(送迎、水道光熱費等込み) 約91,000万円
- 自粛期間中の食費(15泊16日分) 約13,000円
- 民泊から羽田空港への交通費 約8,000円
- 羽田から地方空港までの運賃(人) 約23,000円
- 羽田から地方空港までの運賃(犬) 6,000円
- ドッグフードやスーツケースの実家までの送料などその他 約14,000円
結構な額です。出発前には有料でPCR検査も受けています。日本円で考えても小さくない金額ですが、ブラジルレアルで生活していた私にとってとても大きな額でした。
出国前PCR検査はどこでするの?
私はこちらで受けました。
CR Diagnóstico
グアルーリョス国際空港にもあって、そこで受ければ4時間後には結果が出るし、外務省指定の書式でも出してくれます。
ですが、出発直前に万が一陽性が出ては困るので、Shopping Plaza Moocaのドライブスルーで受けました。すぐ終わるのかと思っていたけど、待たされて終わるまで一時間。
検査結果ですが、ポルトガル語と英語はサイトからダウンロード、外務省指定の書式のものは空港で受け取ります。
犬と滞在できるところはある?
ありました。
私のような帰国者が、外出自粛期間を過ごせる民泊を紹介してくれたのはこちら。
一時帰国.com
他にも同様の業者がいくつもあって問い合わせをした中から、
- 犬同伴OK
- 送迎あり
- PCR検査陽性が出た場合の無料キャンセル可
- 宿泊料
をポイントに選びました。
繰り返した問い合わせにも、出発を目前に急に犬の搭乗が断られたときも、丁寧に対応してくださって助かりました。
移動はどうしたらいい?
公共交通機関の利用ができないうえ、家族や知人の迎えも頼めない。帰国して地方都市に帰りたい人には頭の痛い問題です。
私が滞在した民泊には送迎サービスがついていたので助かりました。もし、成田から都内までハイヤーを頼むと35,000円くらいします。
いずれもクレートに入れていれば犬も載せてくれます。
日本の携帯持ってないけどどうしよう
私は日本の携帯を持っていなかったので、連絡用にスカイプ番号を取りました。これで入国時に連絡先として登録したし、自粛滞在先で実家と連絡を取り合ったりペットタクシーを予約したりするときに便利に使いました。
困ったのは宅配が頼めなかったこと。
日本のUber Eatsなど宅配サービスアプリの登録には携帯番号の登録が必要でした。スカイプ番号では登録できず、楽しみにしていた日本の飲食店の宅配サービスは諦めました。
実家に帰ってから
Photo by Markus Winkler on Unsplash |
ブラジルで長く暮らした後、感染者数が増加していた東京で過ごしていた私に対し、家族が神経質になっていました。
実家に帰っても2週間もの間、一日中家の中でもマスクをして過ごしました。後で聞くと、私が触れた物や先に入ったお風呂にも抵抗感があったそう。
正直、なんのためのあの2週間だったのかと情けない気持ちになりましたし、ストレスも溜まりました。
でもウイルスを恐れる気持ちはよく分かります。とはいえ、これが行き過ぎると差別を生むのかもしれないと思いました。
最後に
ダラダラと長くなりました。
コロナ禍での帰国は犬がいなくても大変です。
この状況でわざわざ帰国する人には、それぞれ何か事情があります。スムーズに帰国できるよう、一つずつよく確認して準備を進めてくださいね。
日本に帰って早2ヶ月。帰ってきた最初の晩の気温は1度でとても寒かったです。それがもう桜が咲き散り始めています。
どこに行っても人と車であふれた賑やかなサンパウロの町と違って、私のいる町は田舎で静か。人の数もずっと少なくて、まだその差に慣れていません。あんなに静かな環境に憧れていたのに不思議です。
日本もブラジルも大好きです。
これからはここで頑張っていきます。
ブラジルから犬を連れて帰国準備の情報を調べていてとても参考になりました。
返信削除情報をまとめて下さってありがとうございます。
コメントをする際に登録したのでコメントが重複していたらすいません。
これから準備に数か月かかるかもしれませんがワンコと帰国したいと思います。
コロナおさまってるといいなぁー
Mieさん、コメントをありがとうございました。長い間気づかずにいて本当にすみません。ごめんなさい。
削除今はもうご帰国されたのでしょうか。コロナの状況はコメントをくださった時とは変わってきましたね。それにともなってやるべき準備も変わったと思います。
どうか一つずつ確実に準備を進めて無事ご帰国なさってくださいね。